生足太ももが、むき出しにしたもの

 

冬の満員電車。

車内の湿度は高く、窓は結露で白く曇っている。

ぎゅうぎゅうと後ろからくる圧力で、ぴたっとドアに押し付けられる。

ドアはひんやりとしていて少し気持ちがいい。

曇りガラスから見える外の景色は、ぼんやりとしていて不鮮明だ。

流れていく白い景色と、記憶の中の景色を頭のなかで照合しながら、今どの辺りを走っているのか想像する。

もうすぐM駅だ。

M駅は他の路線との乗換え駅なので、朝のこの時間帯はホームが人でごった返している。

そして、下りホームでごった返している人の6割ぐらいは女子高生だ。

沿線にはいくつかの女子校がある。

ホームにいる彼女たちのスカートはこぞって丈が短く、その生足太ももを、惜しげも無く寒い外気へとむき出しにしている。

下世話な話し、その光景はちょっとしたもので、おねいさんが好みの変質度ギリギリ38%の僕も思わず目を向けてしまったりするほどだ。

でも、結露で曇ったガラス窓からは、その光景を見ることができない。

今日は見れないな、と僕が少し残念に思っていると、

横にいた50代ぐらいと思しきおっちゃんが、ガシガシと手で窓の結露を拭きとった。

そしてクリアな視界を確保すると、そこから下りホームを鋭い眼つきで凝視し始める。

その間に、電車は乗客を降ろして乗せて、また動き出す。

電車がホームを離れていくと、おっちゃんも凝視するのを止めた。

それを見て、”人間、そうは変われない”、ということを僕は思い知った。

なんだかすごく悲しくなった。

例えば、10年経ったとしても、僕はそう変わっていないだろう。

そういうことを、今日、僕は見てしまった。

湿度の高い車内は、少し息苦しかった。