黒猫と暮らしてみて思うこと

 

 猫と暮す生活は人生で初めてなのだけれど、子どものころに犬とは暮らしたことがある。小さいヨークシャテリアで銀毛で耳がピンと立っていた。

 そのヨークシャテリアと暮らしていた経験からいうと、猫の方がいろいろ面倒くさいなと思うことが多い。何が面倒くさいかというと、「撫でろ」「構え」と、こちらの都合など完全に無視で横柄に要求してくるトコロだろうか。

 何の脈絡もなくふとヒトの顔を見たかと思ったら、どでーんと寝っ転がってお腹を見せてくる。で、眼だけチラっとこちらへ向けてきて、「ほれ、撫でていいんだぞ?どうした?」って感じを醸しだしてくる。これが何だか面倒くさい。こっちが撫でたくてたまらないでいるってことが前提にされていて面倒くさい。自惚れるなよ。黒猫。

 で、知らん顔してちょこまかと違うことを始めると、起き上がってきて足を噛んでくる。これが結構痛い。そこはかとなくマジで噛んでくる。そして鳴く。ミャオーって感じで。あまりに痛いしうるさいしで渋々撫でることにする。いや、いろいろと忙しいんだってば。

 仕方なくもふもふわしわしやって、アタマや喉をこちょこちょやりつつお腹を撫でてみる。するとおもむろにガブっと噛み付いてくる。どーやらお腹は嫌みたいだ。撫でる場所まで指定してくとは面倒くさい。噛むならやらないよーっと手を引っ込めるとまた催促してくる。ミャオーって。これまた面倒くさい。

 ヨークシャテリアはもふもふわしわしやったら、そりゃもー喜び転げまわったもんです。撫で方や場所に注文つけてきたりしませんでしたね。

 ムツゴロウが動物は少しぐらい乱暴にされるのが好きなんですよ〜あははって何かの番組で昔言ってるのを聞いてから、結構ワイルドなタッチでもふってたんですけどね。同じ感じで黒猫もふると怒るんですよ。噛まれると地味に痛い。

 んで、向こうが特に要求していないんだけど、こっちが何となく触れ合いたい気分が盛り上がっちゃって、もふもふわしわしやり始めると―――怒る。ガブって。そして面倒くさそうに(なんと向こうがだよ!)立ち上がって移動してあっちへ行っちゃう。この時の拒絶感ったらもう……鈍器で後頭部をぶん殴られたかのような衝撃を受けますよ。

 こっちの自分勝手な自慰的な愛は拒否られます。気をつかって尽くしてあげる感覚が必要なんでしょうね、猫相手は。やっぱり面倒くさいじゃないですか。女性を相手にするかのように面倒くさいんです。こっちだって放っておいてほしい時もありますし、一方的に触れ合いたくなったするんですよ。お互い様なんじゃないのかなぁ。君にもこの辺の機微を理解してほしいな、黒猫さん。

 やっぱり猫みたいなヒトは猫とはうまくやっていけないだろうなっと思いますね。そういうヒトは犬と仲良くしたほうがいろいろ満たされて捗るんじゃないでしょうかね。眠くなってきたから寝よう。しかし、猫は一日中寝てるな。